この記事の要点
- ふつうのランダムでも、同じ結果が続くことは普通にある。連続は壊れや偏りの証拠にならない。
- 人間の直感は「ばらけた結果」をランダムだと信じがちで、実際のランダムより早く交互を期待する。「また同じ?」という不満は、そのズレから生まれる。
- 繰り返しを減らす方式は、直近の結果を候補ごとの出にくさに反映する。繰り返しはゼロにならず、減るだけ。
- 確率を毎回変えられない用途(賞品抽選など)は、ふつうのランダムのまま。並びの不満が残る用途にだけ、抑制版を使う。
連続は「おかしい」ことではない
サイコロの4が3回続くと、多くの人は「このサイコロ、偏ってない?」と疑います。
しかし、仕組みをいじっていない完全なランダムでも、同じ目の連続は普通に起こります。同じ目が3回続く確率は1か所あたり約2.8%です。100回振れば、平均して2〜3回はどこかで起こるという計算になります。
連続が目につきやすいのは、直感とのズレがあるからです。人間の直感は、実際のランダムが作る並びよりも早い交互を期待します。
Bar-HillelとWagenaarの研究では、人が手で書いた乱数列のほうが、本物の乱数列よりも連続が少なかったことが示されました。つまり、本物のランダムのほうが、人が作る「それらしい」並びよりも連続が目立ちます。
同じことは、排出率が固定のガチャでも起きています。前の結果を引き継がない抽選なので、はずれが続くことも、レアが続くことも、両方とも確率の範囲です。続いたほうだけを「珍しい」と見なさず、連続そのものが普通に起こるのが完全なランダムです。
なぜ「また同じ人?」と感じるのか
抽選やシャッフルで同じ人が続くと、使う人には二つの気持ちが生まれます。1つは、壊れていないかという疑い。もう1つは、まだ番が来ていない人の不満です。
後者の不満は、「そのうち全員に順番が回るはず」という期待から生まれます。教室の当番や週次の発表順のように、履歴を持って割り当てる用途では、直近の履歴を見ながら候補の重みを動かす方式のほうが、不満を小さく保てます。
繰り返しの違和感は、音楽アプリでも扱われてきました。Spotifyはシャッフルが同じ曲を続けて掛けにくいよう調整しており、その実装事例は参考文献のSpotify Engineeringに載っています。
繰り返しを減らす方式の仕組み
このサイトの「偏りを抑えた」ツール群(サイコロ・抽選・ルーレット・順番決め・チーム分け)は、次のような方式です。
- 乱数の元(エントロピー)は本体と同じです。ブラウザ内の暗号学的乱数を使います。
- 出す前に、直近の結果を見て、候補ごとの出にくさを決めます。直前と同じ結果には重いペナルティ、短い間に何度か出た結果には軽いペナルティです。
- ペナルティを重みに反映したうえで、乱数で実際の結果を1つ選びます。
ペナルティは強すぎないので、同じ結果が続くことはゼロになりません。ある結果ばかりが常に選ばれる仕組みでもありません。長い目で見た出現割合は偏りを増幅せず、ばらつきに戻ります。1→2→3→…の固定パターン(循環)になる方式でもない点も、要点のひとつです。
直近の結果で、次の1回の出やすさがどう変わるか
1. 直近4回の結果(右が新しい)
2. 次の1回の確率を比べる
ふつうのランダムは、直近の結果に関係なく各1/6(約16.7%)です。
| 出る目 | ふつうのランダム | 繰り返しを抑える |
|---|---|---|
| 1 | 16.7% | 20% |
| 2 | 16.7% | 20% |
| 3 | 16.7% | 6% |
| 4 | 16.7% | 20% |
| 5 | 16.7% | 14% |
| 6 | 16.7% | 20% |
- 3が2回続いたので、3を出にくくする。
- 最近出た5も、少し出にくくする。
3. この確率で抽選する(今回は2が出た例)
3が次に出る可能性も6%残ります。特定の目を禁止する仕組みではありません。
100回・1000回で比べる
下のシミュレーションは、ふつうのサイコロと抑制版のサイコロを同じ回数だけ振り、各目の出た回数と連続の出方を並べて比べます。ボタンを押すたびに新しい結果を出し、保存はしません。
100回では、一方の目が20回、別の目が8回という差が、どちらの方式でも普通に出ます。1,000回に伸ばすと、抑制版では各目の合計が理論値の1/6に近づき、直前と同じ目の回数と最長の連続は明確に減ります。
面数6のサイコロを両方の方式で同じ回数だけ振り、出た目の分布と連続の出方を比べます。ボタンを押すたびに新しい結果になります。
注記: 抑制版の実測値は、独立な試行の理論値とは一致しません。このズレは、直近の履歴を重みに反映する方式の特徴です。理論値との比較が目的であれば、本体の合計確率ツールなど、ふつうのランダムを使ってください。
使い分けの目安
| 場面 | 向いている方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 賞品抽選・監査の対象 | ふつうのランダム | 抽選のたびに確率が変わると、説明責任が生じる。 |
| ゲームの運試し | どちらでも | 連続を避けたいなら抑制版。確率の実験ならふつうのランダム。 |
| 日替わりの当番・発表順 | 繰り返しを減らした方式 | 直近の当選者や先頭が続きにくいほうが使いやすい。 |
| 確率の学習・実験 | ふつうのランダム | 理論値との比較が目的なら、試行は独立である必要がある。 |
どちらを使うべきか
「どちらが正しいか」ではなく、目的で決めるのが基本です。
抽選のたびに確率が変わっては困る用途では、本体のランダムツールを使うのが正解です。当たりを全員に回したい場面では、抑制版のほうが不満が少なく済みます。
参考
- Bar-Hillel, Maya & Wagenaar, Willem A. (1991) “The perception of randomness”. Advances in Applied Mathematics, 12(4), 428–454. 連続がランダムらしさの直感とズレることを示した研究。
- Falk, Ruma & Konold, Clifford E. (1997). “Making sense of randomness: Implicit encoding as a basis for judgment”. Psychological Review, 104(2), 301–318.
- Spotify Engineering (2025-11-13). “Shuffle: Making Random Feel More Human”.
更新日: 2026-10-10